太平洋高気圧が日本列島をすっぽりと覆い季節外れの暑さが続いている。10月に入ってからも30℃を超えることがままあり、秋の気配もすっかり身を潜めていた。電子タバコを咥え馴染みのビジネスホテルの窓からそっと眼下を望むと、帰宅途中の自転車に乗った高校生が目についた。茜色にうっすらと染まりつつある街並みをぼんやりと眺めていると廊下の方から小さくノック音が響いた。静かにドアを開くと、そこには黒いワンピースに身を包んだ女性が立っていた。
やってきたのは30代半ば程の品の良さそうな女性だった。部屋に入りそっとマスクを外すとしっとりとした色気を纏った瞳でこちらを眺めている。年相応の落ち着いた口調で丁寧に挨拶をするとパイル地のハンカチを鞄から取り出し照れ臭そうにそっと額の汗を押さえた。『汗っかきなもので…』彼女の言葉にじわりと欲望が刺激される。緩やかにウェーブのかかった髪をふんわりと揺らしながら優しく微笑む彼女の笑顔は幼い少女のような無邪気さを持っていた。それとは裏腹に彼女の身体を上下に眺めてみると全体的に肉付きはよいが決して太っているわけではなく、見事に熟成された色気が身体全体から溢れんばかりに滲み出ている。その危ういアンバランスさに下腹部のあたりが熱くなるのが感じ取れた。
取り止めのない雑談の後、彼女はそっとシャワーへと私を誘った。鞄から髪留めを取り出し肩ほどまで伸びた髪を器用に後頭部に纏める時、両手を上げた彼女の半袖のワンピースの袖口から腋窩がちらりと覗いた。私は何故だか見てはいけないものを見てしまったような気持ちにふと視線を逸らし、下を向きながらもぞもぞと服を脱ぎ出した。ワンピースを脱ぎ終わった彼女が後ろを向くとむっちりとした臀部が全て露出したTバックを着用していた。程よい弛みを伴った量感溢れる尻たぶはかぶりつきたくなるような淫靡な魅力を持ち、私はじっと見つめていた。
ビジネスホテルの窮屈なシャワースペースに二人でそろそろと身体を収める。彼女の指示に従い私は後ろを向くとそっと壁に両手をついた。彼女は備え付けのボディソープを念入りに泡立てると後ろ向きの私の股下からそっと手を差し入れた。突然の感覚に私は小さく声を漏らす。背後からゆっくりと蠢く彼女の指先が睾丸から陰茎へと移動していくと私の腰も連られて動いてしまう。彼女の泡を纏った右手が陰茎をゆっくりとなぞる。気が付けばすっかり膨張しきった陰茎の先端を彼女が悪戯っぽく刺激すると、なんともこそばゆい快楽についつい喘ぎ声が漏れてしまっていた。
シャワーを出た私たちはベッドに身を横たえると、まるで恋人同士のように口づけを交わした。舌と舌が艶めかしく刺激しあうと私の情念にみるみる火が点き始め彼女の背中に手を廻しぎゅっと抱きしめた。先ほどシャワーを終え身体を拭いたばかりではあるが、彼女の背中はじっとり汗ばみまたそれがなんとも言えず愛おしく思え、口づけはより激しさを増していた。乳首から下腹部へと少しづつ移動する彼女の唇の愛撫に股間は見事にそそり立ち先端からはじっとりと汁が滲み出ている。彼女はそれを舌先でゆっくりと舐めとると私に小さく微笑んだ。その笑顔の愛くるしさに私はすっかり虜となっていた。
彼女は右手にビニール製の手袋を装着すると指先にローションをつけた。私はそっと両ひざを開きもう一つの性感帯である肛門を露わにした。彼女の柔らかな指先が静かに挿入される。思わず声を漏らす私を見つめながら緩やかな円運動の軌跡を描きながら奥へ奥へと進んでゆく。彼女の指先が前立腺を微かな震えで刺激する度、四肢の先まで駆け巡る快楽に私は歓喜の声を上げてしまう。安普請のビジネスホテルでは廊下まで声が漏れてしまうのではないかと不安になるが、優しく蠢く彼女の指先には抗うことはできなかった。
彼女は私の肛門から指を抜き手袋を外すともはや限界間近の陰茎にそっとローションを垂らした。ゆっくりとわたしの身体に跨ると少しづつ腰を下ろす。左手と臀部の割れ目で陰茎を挟み込みゆっくりと腰を前後に運動させる。まるで挿入しているかのような感覚に私は小さく身震いをした。彼女の動きと共にたわわに揺れる乳房に堪らず手を伸ばす。しっとりと吸い付くような触感につい強く力がこもってしまう。徐々に腰の動きを速める彼女の額には綺麗な玉のような汗が浮かんでいた。私の腰も彼女の動きに合わせグラインドを繰り返し快楽を貪っている。彼女の口から漏れる艶かしい声に私の情感はすぐさま頂きに達し、私は乳房を強く揉みしだきながら彼女の左手の中に大きく果てた。私の方にゆっくりと身を預ける彼女を固く抱きしめると背中にもじんわりと汗が濡れていた。私は彼女の瞳をじっと見つめまた口づけを交わした。