〈後編〉年季の入った蝶番の小さな軋みと共にゆっくりと開いたのは私の新しい世界への旅立ちの扉であった。●トランプ【NHひかり】23歳 (T167・81・57・83)

デリヘル

古来より日本には男色という文化が存在する。古くは『日本書紀』またそれ以降も『万葉集』や『伊勢物語』『源氏物語』など数多くの名の知れた書物に男色についての記述を見ることができる。女色を禁ずる仏教の世界でも僧侶とまだ剃髪前の修行僧との間で、儀式の一つとして半ば公然のように性行為が行われてきたようだ。戦国時代になると女人禁制の戦場において主君と小姓との間で『衆道』と呼ばれる男色文化が発達していく。あの織田信長も臣下である森蘭丸とそのような関係であったことは有名な話である。好戦的で残虐なイメージの強い織田信長も森蘭丸にこうしていたのだろうか….。必死に彼女の男性器を咥えながら私はそんなことを考えていた。

そんな私の股間は既に痛いほどにいきり立っている。彼女への口淫がまるで自分自身に行なっているかのように固く打ち震えていた。彼女はそっと私の肩を掴み、ゆっくりと後ろに押し倒すと天に向かってそそり立つ私の性器にスルスルと避妊具を装着し、ローションをたっぷりと手に取った。ローションを纏った私の性器はぬらぬらと淫雛な光を放ちながら小さく脈動を繰り返している。彼女は私の身体に跨ると私の性器に右手を添えゆっくりと腰を落とす。私の先端が彼女の肛門に触れた感触に甘い吐息が漏れた。先端に圧迫感を伴いながらも少しづつ肛門をこじ開け私の肉棒が挿入していくのがしっかりと感じ取れる。不意にするりと亀頭が全て飲み込まれると私と彼女はほぼ同時に『あぁ!』と大きな喘ぎ声を上げていた。そこからゆっくりゆっくりと彼女の中に埋没していく自らの肉棒を私はじっと見つめていた。やがてすっかり根本まで入った私の性器を腸壁と括約筋にきつく締め上げられると私はあまりの快楽に泣いているような喘ぎ声を漏らしていた。早くも頂点に達しそうになった私は彼女に懇願し、しばしの休憩を申し入れた。

私は両手で自身の両太腿を抱えじっと彼女を待っていた。避妊具を装着しローションを念入りにつけた彼女の股間は見事なまでにそそり立っていた。準備を整えた彼女が私の元へ戻ってくると固くなった股間をそっと私の肛門にあてがった。彼女はゆっくりと呼吸を繰り返す私に少しづつ体重を移動し、固くなった先端を徐々に私の中に挿入する。肛門を押し分ける鈍い痛みを感じながらもそれが徐々に快楽へと変異する。既に私の口からは悦楽の声が繰り返し発せられていた。彼女は左手で私の腰を抱き抱えてゆっくりと腰を振りながら右手で私の性器を掴み上下にしごきあげる。彼女の腰の動きと右手の動きが相まりまるで自分の性器が自分の肛門に入れられているようだ。彼女の肉棒が私の身体の奥深くを激しく突き上げると脳髄を溶かすような快楽が全身を駆け巡る。すでに理性の欠片も残っていない私は恥ずかしげもなく彼女の動きに合わせて自らも腰を振り続けていた。

私と彼女の性器と肛門を繋ぐ快楽のリングは回転運動を繰り返しながら螺旋状にどんどん高まっていった。私は最早声にならない声を叫びかぶりを振っていた。私の肛門から挿入された快楽が脳天を突き破ると、空間を捻じ曲げ再び肛門に挿入される。その回転数は徐々にスピードを上げ光速の壁をも打ち破りそうだ。彼女の艶かしい腰の動きと私の股間を扱く右手の動きがより一層速さを増した。私は固く目を閉じ両手は知らず知らずのうちに枕元のシーツをぎゅっと握りながら俎板の魚のように時折大きく痙攣を繰り返す。数秒あるいは数十秒程の後、奥底から湧き上がる耽美な電流が凄まじい勢いを持って身体中を駆け抜けそして私は果てた。果てた後も余韻の中で何度も痙攣を繰り返しながらベッドから立ち上がることが出来ずにいた。部屋には私の呼吸をする音、ただそれだけが静かに聞こえていた。

『鳴かぬなら殺してしまえほととぎす』織田信長の性格を表す有名な句だが本人の作品ではないようだ。先ほどまで私もほととぎす以上に鳴いていた。あれほど大声で鳴きながら快楽を享受する私は信長に殺されることはないだろう。ホテルを出るともうすっかり日も暮れかけていた。遠くの山に太陽が姿を隠しかけている。茜色の夕日を眺めていたら、さっきまでのプレイを少し思い出して肛門に違和感を感じた。「今日のプレイは忘れることは出来ないな」そんなことを思いながらただ真っ直ぐ前を向きハンドルを握っていた。沈みゆく大きな太陽に真っ直ぐ向かっていった。

最近、LGBTが何かと話題である。えてして人を糾弾し、時には社会的地位を奪う武器とさえ化す。そんな殺伐とした世の中だからこそ、「オカマ」という切り口で語るまったく新しい日本史を読み解き、現代の問題を考える材料としていただければ本懐である。
門戸 志郎

門戸 志郎

哀愁漂う風俗と酒場を求めて今宵も福井の街を彷徨う… 自らの20年以上に及ぶ風俗体験を徒然なるままに記した『福井風俗体験記』 是非一度ご覧になってください

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