頭上から照りつける太陽がジリジリとアスファルトを焦がし、立ち登る熱気に呼吸も抑え目になっている。3日連続の猛暑日に体力は奪われ、食欲も性欲もすっかり失せ果てていた。18世紀の産業革命以降、人間は石炭や石油などの化石燃料を燃やしては多くのエネルギーを得てきた。その結果、大気中に排出される二酸化炭素が増加しこれが地球温暖化を引き起こす主な原因と考えられているようだ。世界の平均気温も年々上がり続けこと日本於いても35度を超える猛暑日と言われている日がそう珍しくは無くなってきている。温室効果ガスの削減は全人類の課題であることは今更言うまでもない。
こう暑い日が続くと冷房の効いた部屋で冷たい飲み物をついつい飲んでしまいがちだが、飲み過ぎは体温の低下をひきおこし夏バテの原因となる。日本には古来より「暑い時こそ熱い飲み物を」という言い伝えもあるように熱いお茶を飲むことにより発汗が促され体の熱が引いていく。そんなことを思い出していると風俗に於いてもそれは当てはまるのではないだろうかと考えた。あえてこの暑い季節にふくよかな女性とがっぷり四つで組み合いお互い大量の汗を流してみたい。そう思いついた私はスマートフォンを取り出し、汗ばんだ左手でいつものサイトを開いた。すんなりと予約を済ませた私は薬缶にお湯を沸かし煎茶をゆっくりと淹れるとぐいっと飲み干した。五臓六腑にビタミンとミネラルが生暖かい温度で沁み渡り疲れ切った胃腸を優しく包み込む。なんだか夏バテの症状も軽なったような気がした私は颯爽と車に乗りこみホテルに向かった。
馴染みのホテルの駐車スペースに車を停めると階段を早足で駆け上がった。ドアを開け部屋に入るとおもむろにエアコンの設定温度を3℃程下げ、ソファにドカっと腰をおろし一息ついた。流れ出る涼しい風で額に滲む汗が少しずつ引いていくのがわかる。私はウエットシートを取り出し額や首の汗を拭い、女性の到着を待っていた。中年のど真ん中にいる私は気づかないうちに加齢臭を漂わせているであろう。女性に不快な思いをさせぬようもう一枚ウエットシート取り出し念入りに体を拭いていると小さなノック音が室内に響いた。
恐る恐るドアを開けるとそこに立っていたのは数多くのピアスで右耳を飾りつけた覇気のない女性であった。ひと目見た瞬間、背中に嫌な汗が滲み出てきた。先ほどとは違う種類の汗であることは間違いない。数多くの女性と出会ってきた私の経験からひと目でおおよその検討はつく。部屋へと招き入れるとやたらと暑い暑いと愚痴をこぼし気だるそうに私の隣に腰掛けた。すっかり意欲を失った私は彼女と目も合わせずにシャワーからベッドへと促されるままことを進めた。おざなりな手の動きには辟易だったがそれでもなんとか果てた時には大きく荒い呼吸を私は繰り返していた。また二酸化炭素を無駄に排出してしまったかもしれない。地球温暖化の抑制にはまだまだ時間がかかりそうである。