昼下がりの静かなオフィスで私はパソコンのモニターを一心不乱に眺めていた。はたから見ると真剣に仕事に取り組んでいるように見えているのだろうが、幸い私の席の後ろは人が通ることはほぼ無い。インターネットで先ほどから様々なページを探索していたのは福井のメンズエステ、通称メンエスについてだった。どうやら福井にも数店ほど存在しているらしい。サイトのページをミルクボーイの漫才の様に行ったり来たりしながら、新しい情報を見つける度に「ほなこの店ちゃうか~」と小さく呟き中々決断を下せずにいた。かれこれ一時間以上は経過しただろうか、私は半ば強引にある店にあたりを付けスマートフォンを手に社用車に乗り込んだ。電話に出たのは気の強そうな声の女性で私は若干たじろいだものの仕事終わりに無事予約を取り付けた。車中でほっと一息つき電子タバコを燻らせていると一件のSMSが届いた。先ほどの予約内容と店舗の場所、部屋番号が記された画面を眺めながら私はいい知れぬ興奮に包まれていた。
予約の時間までは後3分だ。私は指定された駐車場に車を停め先ほどから車中の時計を凝視していた。いつもと勝手の違うシステムに戸惑いながらも新しい扉を開ける喜びに少し震えていたかもしれない。時計の針が予約時間を示すと私はそっと車を降り、指定された小綺麗なマンションの階段を音を立てないよう留意しながら静かに登って行く。部屋番号を確認しインターフォンを震える指先でそっと押した。間も無くしてドアが開かれ、やや薄暗い部屋の玄関に足を踏み入れると黒いミニスカートに赤いノースリーブの女性が胸元をちらちら覗かせながら立っていた。髪色がやけに明るく野暮ったい雰囲気の女性ではあったがむっちりとした太ももは妙に魅力的で私は目を凝らしてじっと見つめていた。
奥の部屋に通されソファに腰掛けるとお茶を出してくれた。緊張と興奮で乾ききった喉を少し潤すと支払いを済ませ、案内されるままシャワーへと向かう。全身を隈なく洗いお湯でゆっくりと洗い流すと一日の疲れもすっかり流れ落ち、バスタオルで身体を拭きながら大きくため息をついた。先ほど彼女に渡された小さく包装された紙パンツを開封するとあっと驚いた。トランクスタイプだと高を括っていたところのまさかのブーメランタイプ。着用した姿を鏡に映して見てみるとなんとも頼りない薄手のパンツに一抹の不安が沸き起こる。
おずおずと脱衣場を出てベッドにうつ伏せになると、下着に白いワイシャツ姿の彼女がそっと私の腰のあたりに跨がり適温のオイルでゆっくりと背中のマッサージに取り掛かった。彼女が力を込める度にたまらずうめき声が漏れる。彼女のマッサージは背中・両腕から次第に両脚へとゆっくりと移ってゆく。太ももを揉みしだきながらも不意に訪れる敏感な部分への接触に少しづつ興奮が増していった。両脚の施術中である彼女の秘部は下着の薄い布越しではあるが私の足の裏にぴったりと触れていた。なんだか少しでも動かすことを躊躇われた私はただじっと彼女の陰部の温もりを足裏でじっとりと楽しんでいた。仰向けになった時には既に私の股間は痛いほどいきり立ち、先端には湿り気を帯びていたかもしれない。彼女はそれに気づく素振りすら見せずゆっくりと全身をほぐしてゆく。静かな部屋には私の快楽のうめき声が時折聞こえるだけだった。
シャワーをもう一度浴びオイルを洗い流すと清々しい面持ちで服を着替え部屋を後にした。緊張から解放された私はおぼつかない足取りで車に乗り込み帰路に就く。いくつになっても新しい経験は大切だ。大きな満足感を得た私はきっとにやつきながら運転していたことだろう。勇気を持って一歩踏み出したことで、メンズエステというまた一つ新しい選択肢を手に入れることができた。「こんなんなんぼあってもいいですからね。」私はそう呟くと小さく笑った。