薄いレースのカーテン越しにうっすらと差し込む陽の光から久しぶりのお天気が感じられた。先ほどから目は覚めているのだがベッドから動けずにかれこれ30分は経過しただろうか。昨晩のアルコールがまだ体内に残って全身をじんわりと気怠さが覆っていた。枕元に置いたスマートフォンを確認するとチェックアウトまではまだ暫く時間がある。飲酒後、帰宅が億劫になり昨晩はビジネスホテルに宿を取ったのだ。古い友人と久方ぶりに会った喜びからか、ついつい呑み過ぎてしまった。頭の芯に鈍い痛みが規則的にリズムを刻んでいた。むっくりと起き上がりそっとカーテンを開く。美しい青空を背景に静かな街並みを望む。まだ街の至る所に白い雪がそこはかとなく残っていたが、もうそこまで春が近づいているのがひしひしと感じられた。私はミネラルウォーターを冷蔵庫から取り出し一気に流し込んだ。全身の細胞が少しづつ活力を取り戻し、きれぎれになっていた昨晩の記憶が徐々に戻ってきた。
数年振りに会った友人とは最初のうちこそなんだか面映ゆい感じで飲み始めていたが、喉を潤す物がビールから日本酒に替わった頃には同じ時間を過ごしていたあの頃にすっかり戻っていた。二人にしかわからない他愛もない失敗談で腹を抱えながらゆっくりと夜は更けていく。懐かしい笑い話も一通り話し終えると、やがて話題の中心が猥談になるのは男二人なら当然だった。彼がパートナーとよく使用しているという電動マッサージ機、所謂「電マ」がその夜のキーワードだった。酔いも回り上気した顔で先ほどから彼は電マの魅力について熱く語っている。私は猪口を片手にニヤニヤと彼の話を聞きながらゆっくりと杯を重ねていった。こんな夜もたまには必要だ。
ペットボトルの水を飲み終えると備え付けのホテルの電話を手に取りフロントに延長の意を伝えた。次にスマートフォンを手に取り暫く眺めていたが、すぐに決断を下した。いつもの受付の男性に女性の名前、部屋番号を伝えると私は最後にオプションを追加した。昨晩からずっと私の心に引っかかっていた電マのオプションだ。
暫くしてやってきた女性とは過去に何度かプレイをしたことのある女性である。雑談もそこそこにシャワーを浴びベッドへと向かった。本来なら私がベッドに横になり彼女の秘技を堪能するところだが、今日は電マというメインディッシュが控えている。私は彼女に横になるよう促すと、そっと近づき小さな胸に鎮座する淫靡な色をした突起を優しく口に含んだ。微かな吐息がうっすらと聞こえた。私はメインディッシュに向けてアミューズからオードブルへとゆっくりと彼女にリザーブしていった。彼女の充分濡れそぼった秘部を確認した私は電マを手に取りスイッチを入れてみた。ビジネスホテルの小さい部屋に卑猥な振動音が響き渡る。敏感な部分にそっとあてがうと眉間に皺を寄せながら彼女は小さく喘いだ。彼女の腰が小刻みに震えながらゆっくりと前後に動き、少しずつ声が大きくなっていくのがわかった。私は左手で彼女の右手を握りじっと快楽を享受する姿を眺めて続けていた。
彼女の乱れる姿に興奮を抑えきれずにいると彼女は私の右手を制し体勢をするりと入れ替えた。ペナントレース終盤の大一番、9回表の私の攻撃も終わりいよいよ彼女の反撃を残すのみとなったのだ。彼女は私の両脚の間に座り込むと天に向かってそそり立つ陰部を両手でそっと優しく包み愛おしそうに口づけをしてきた。小さくうめき声をあげる私をよそに少しずつ口と手の動きが小刻みにスピードを上げていく。何度も対戦を重ねたことがあるからであろう私の弱点は全てお見通しのようだ。彼女の機動力を存分に活かした巧みな攻撃に程なくして口内にゆっくりと果てた。全て放出し終わったあともじっと咥え続ける彼女の背後の窓には澄み切った青空が広がっていた。