数日ほど前から妙に歯車の噛み合わない日々が続いていた。全ての事柄が思った様に転がらず、このところまるでルームランナーで同じ場所を走り続けている様な日々が続いていた。何だかモヤが掛かった様に頭がすっきりしないのである。半ば眠っている様な感覚で最低限の仕事をこなしながら一日が終わるのをただじっと待っていた。
その日の夕方、あるドラッグストアの駐車場で何をするでも無く暮れていく空をぼんやりと眺めていた。北陸の冬らしい重くのしかかってくるような空が少しづつ暗くなっていくと私の気持ちもより一層沈んでいった。終業時間まではまだ暫くあり、事務所に戻ってまとめるべき書類も残っているのは承知のはずだが全く気力が湧かずにいた。シートを倒しただ漫然とスマートフォンを触っていると行き着く先はいつものサイトだ。特に気になる女性もいなかったが、ふと目についたお店に半ばなげやりな心持ちで電話をかけた。
ホテルに入ると普段なら気にならない有線が何故だか耳障りに聞こえおもむろに電源を切った。静寂に包まれた部屋のソファに腰掛けゆっくりとタバコをくゆらせる。二本目のタバコを吸い終わったタイミングで一人の女性がやってきた。中肉中背、取り立てるべき点も特にないがくっきりとした二重の瞳が印象的だった。目力のあるその瞳で見つめられると心の奥まで見透かされそうでふと私は目を逸らした。
浴室に入ると彼女に誘われるまま壁に手をつきお尻を突き出した。ねっとりとした泡を手にした彼女は背中からお尻までゆっくりと洗い出した。私の全身を弄る彼女の妖艶な手の動きに少しづつ呼吸が荒くなるのがわかる。彼女の右手が股の下をくぐり前方にやってきた時には既に芯まで硬直し、私の口からははっきりとした声が漏れていた。もはや洗っているのか愛撫しているのか判断がつかないほど私は興奮の渦中にいた。
浴室を後にしバスタオルで躰を拭いているとベッドで自慰をしながら待つようにと彼女から驚きの指示をされた。私はベッドに横たわると羞恥と興奮と共にそっと右手を股間にあてがった。まだ硬直が続いている性器を掴むとゆっくりと上下運動で刺激を与えてみる。自ら生み出す快楽に身もだえる私を見るなり彼女はうっすらと笑みを浮かべていた。ベッドにやってきた彼女は私の反応を楽しむように全身をじわりじわりと責め立てた。お湯を張った洗面器で暖められたローションや適度な大きさにカットされたストッキングなど心遣いが行き届いた小道具がありがたい。彼女の力漲る瞳で見つめられながら責め立てられる私はただ歓喜の声を上げ続けるだけだった。やがて体勢を入れ替え彼女のお尻の圧迫感を顔面で一心にうけながら右手のリズミカルな上下運動に程なくして果てた。
ホテルを出るともうすっかり陽は沈み辺りは闇夜に包まれていた。気温が下がり凛とした空気を吸うと頭の中のモヤも幾分か良くなったような気がする。静かにアクセルを踏み込み家路についた。まだ少し明日からも生きていくことが出来そうだ。

