「ありきたり」「ステレオタイプ」「紋切り型」「使い古された」どんな言葉で馬鹿にされても構わない。私は喪服姿の女性に興奮する。年に一度ほどある通夜や葬儀で目にするあの姿には言い知れぬ情感が沸き上がる。憂いを帯びた表情の肌の白さと一切の感情を沈める喪服の黒のコントラストがより一層女性の美しさを際立たせる。そしてあの漆黒の衣装の下では愛欲の渦が熱く激しく呻き蠢いているのではという淫らな妄想がついつい沸き上がってきてしまうのだ。
42歳、それがプロフィールに記されていた年齢だった。記載された年齢にプラス5歳ぐらいは想像していたがおそらく50歳は超えているであろう。黒いワンピースに身を包み黒いストッキングを穿いた彼女はまるで葬儀の場で久しぶりに会う親戚の叔母さんのようだ。日本人離れした大きなお尻がやけに印象的だった。堀の深い顔立ちからも南方系の血筋を感じさせる。肌の質感は年齢を隠せない様子で、随分昔に曲がり角を超えていることは間違いないだろう。だがそれもまた一興、それだけ経験を積んでるということだ。何事もプラスに捉えていかないとこの魑魅魍魎が跋扈する風俗道を歩むことはできないのである。
支払いを済ませベッドに並んで雑談をしていると、彼女の手が私の太ももに置かれた。彼女の右手のゆっくりとした動きが、私の身体の奥底から快楽の熱を少しずつ高めてゆく。気づけば私のズボンははちきれんばかりに膨らんでいた。シャワーの前のこうしたジャブは後々のプレイへの期待を否が応にも高めていった。
シャワーを浴びベッドに横たわる私のそばに彼女は静かに歩み寄ってきた。おもむろに接吻をしてきた彼女の舌は肉厚でとても弾力があった。徐々に彼女の舌が激しく蠢き出し、私の身体の隅々まで這いずり回る。されるがままの私をローションと唾液の合わさった適度な摩擦係数で執拗に責め立ててくる。口や右手、左手、果ては足まで使って全身を愛撫する彼女のテクニックに私は歓喜の声を上げるほかなかった。愛撫を受けながらそっと私も彼女の胸に手を伸ばす。今まで数多くの男性に揉みしだかれたであろうその胸は全く弾力がなく、まるで霞を掴むようだった。ふわふわと捉えどころのない身体を必死に捕まえながら私はあっという間に果てた。
帰りの道中、誰かに似ているなとずっと考えていたが家に到着する直前にハタと気づいた。板尾の嫁だ。

