ドアを開けるとそこにはサイトで見た写真と寸分違わぬ女性が立っていた… ●ルーフ福井【じゅり】24歳(T153・90・57・85)

デリヘル

アダルトビデオを初めて観たのは今から30年程前だろうか。数々の作品に触れていく中で生まれた小さな疑惑はやがて大きな確信に変わった。それは私は多数派では無いと言う確信だった。時代を彩る有名女優達には目もくれず、ニッチなジャンルを手当たり次第に観続けた。その中でもお気に入りは素人の投稿もの。照明もカメラワークも無く過度な演出など一切無いが、そこにはリアルな欲望のなれの果てがあった。そんな欲望の狭間で少しづつ私の性癖が形成されていったのだろう。

彼女の名前はよく目にしていた。堂々と顔出しをして常に予約でいっぱいの彼女は人気嬢である事は一目瞭然で多少の興味は抱いていたものの、きっと私には合わないだろうと食指が動く事はなかった。日課であるシティヘブンをチェックしていると彼女の名前が意外なお店のページで目につき、調べてみるとどうやら以前のお店は閉店したようだった。何故だか少し興味を惹かれた私は仕事を終えるとすぐにスマートフォンを手に取り予約を入れた。おそらく移店したばかりだからであろう待ち時間もなくすんなりと受付を済ませられた。私は左手で手早くシフトをDに入れてラブホテルへとアクセルを踏み込んだ。

サイトに顔出しをしているとやはり安心感は桁違いである。多少のパネルマジックがあるにせよそう酷いのは来ないと思うとどうしても顔がニヤついてしまうのは致し方なかった。ノックの音におもむろにたじろいでドアを開けるとそこにはサイトで見た写真と寸分違わぬ女性が立っていた。「普通に可愛い…」これが彼女に対する第一印象だった。はつらつと自己紹介をする彼女に少し後ろめたさを感じながらも例のことを聞くと、やはり以前のお店は閉店したようだった。写真では何度も目にしていたものの、やはり本人が目の前にいると興奮してしまうのは男の性。また服の上からでもはっきりと認識できる胸の大きさには多少気後れしてしまっていた。

共に時間を過ごすほどに彼女の人気の理由が続々と確認できた。容姿、トーク、プレイ、プロ意識どこをとっても今まで出会ったどの女性にも引けを取らない素晴らしい逸材だった。しかし彼女の素晴らしさを発見すればするほど、少しずつ気持ちが冷めていくのを感じていた。まるで有名女優のアダルトビデオを観ているかの様なのだ。Gカップの大きな胸も形の良いお尻も素敵な笑顔も全て人間のリアルさを感じることができなかったからだ。非の打ち所がない事が欠点というまさかの展開である。そんなパラドックスから抜け出す事を諦めた私はとりあえず果てることだけに注力し、やがて果てた。

帰りの道中、私は風俗に何を求めているのか自問を繰り返した。人間のリアルな欲望の行先はまだ見えぬまま、今日もまたサイトを彷徨う日々が続く。

90年代、レンタルビデオ店のアダルトコーナーののれんの向こうは、著者をはじめ10代童貞にとって夢の国でした(当時はAVは「ビデオを借りる」のが普通の時代でした)。本書では、そんなアラフォー世代にとって「アイドル以上」の神々しい存在だったレジェンドAV女優34名を、当時の社会現象や都市伝説等も交えながら大紹介いたします。
門戸 志郎

門戸 志郎

哀愁漂う風俗と酒場を求めて今宵も福井の街を彷徨う… 自らの20年以上に及ぶ風俗体験を徒然なるままに記した『福井風俗体験記』 是非一度ご覧になってください

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