人妻系風俗の時はラブホテルではなく昼間のビジネスホテルを選ぶ。そう選択し始めたのは半年程前だろうか。様々なデコレーションで欲望を刺激しようとする派手なラブホテルよりも、無色透明なビジネスホテルの方がある程度年齢を重ねた女性にはよく似合う。素材の味を生かした料理には素朴な器が合う様な感覚だろうか。世間から隔絶された小さい部屋の中で、窓から差し込む日差しを浴びた裸体は消え入りそうに淡くほのかに輝いているように見える。
その日は年に一度の健康診断のため午後から休みをとっていた。一通りの検査を終え最後に医師の問診。一回り以上歳下であろう若い先生のおざなりでぶっきらぼうな問診に閉口し、ささくれだった心持ちで病院を後にした。外に出ると私の気持ちを逆撫でするかのように澄み渡った青空が広がっていた。空が高いとはよく使われる比喩表現だが、秋空は本当に高い気がする。小春日和とは今日のような日を言うのだろう。私は車に乗り込み窓を半分開け大きく息を吸うと、「さて」と一言声に出してクスッと笑った。手早くエンジンをかけハンドルを握る。向かうは馴染みのビジネスホテルだ。
普段通りチェックインを済ませ部屋に入ると私は備え付けのコーヒーを淹れた。湯気と共に立ち昇る安っぽい香りを胸いっぱいに吸い込む。外はまだ明るい。平日の午後という背徳感がスパイスとなり少し興奮しているようだ。手早く電話を済ませた私は椅子に腰かけゆっくりと女性の到着を待っていた。
やって来たのは、少し小柄でそしてしっとりとした色気のある素敵な女性だった。私は一瞥した瞬間から溢れだす喜びを必死に堪えて、努めて平静を装い部屋に招き入れた。彼女は大阪から数ヶ月に一度福井に足を運んでいるようで、そんな一期一会の出逢いも醍醐味の一つだ。会話を楽しんでいると、時折見せる少女の様な笑顔に私はどんどん魅せられていった。初めて会うはずなのになんだか懐かしい気持ちにさせられるそんな笑顔だった。
雑談もそこそこに彼女は衣服を脱ぎ始めた。じっとりと憂いを帯びたような裸は年齢と共に色気を重ねていった妖艶な代物だろう。私は一瞬たりとも目が離せなかった。シャワー中は私の体を丁寧に洗いながら時折敏感な部分を責め立ててくる。そんなときに見せる悪戯っぽい笑みもまた素敵だった。ベッドの上でも私の反応を一つ一つ確かめながら、まるでピースを組み合わせていく様にじっくりと全身を責め立てた。愛撫をしながらも目が合うと微笑みかけてくる彼女にすっかり虜となった私は少しずつ高まっていく快楽を存分に享受しながら彼女の手を強く握り、やがて果てた。
脱力感と睡魔でベッドから起き上がることのできない私をよそに、彼女が帰り支度を整えるのがなんとなくわかった。もう少し一緒にいたかったが間もなくアラームが鳴るだろう。彼女は小さい声でお礼を言うと私の頬に小さくキスをして部屋を後にしていった。ビジネスホテルの暗い部屋で裸の私は一人眠りに落ちていった。